生物学となんとか 〜理系大学生の日常

理系大学生が生物学について綴る日記。レポートを書く人と自分のために。。。

植物生理学レビュー

先日の植物生理学Iという講義でレビューが教授のホームページに掲載されました!

 

講義内容は「植物の葉の構造」で、特に光合成の材料である二酸化炭素は液体中で拡散速度が遅くなるため、葉の裏側の気孔で吸われた二酸化炭素は、柵状組織の中を通らずに細胞間隙を通っていることに興味を持ちました。このことを示す証拠として、柵状組織の円筒状の構造の円周付近に葉緑体が集まっていることを示した画像もみました。

私が送ったレビューとその返答が次のようです

 

Q:今回の講義では、気孔は葉の裏面に多く存在する種が多く、そこから取り入れたCO2光合成の場である葉緑体が多く存在する葉の表面に近い方に存在する柵状組織に細胞間隙を通して拡散させているということを学んだ。その証拠に、柵状組織の細胞間隙に接した部分に葉緑体が多く配置しているという画像もあった。葉緑体が表側に近い方に多く存在するにも関わらず、気孔は裏側に存在するという矛盾にも感じられる事柄にとても興味がわき、葉が薄い(共通性)ことはこの矛盾を解消するためなのではないかと考え、これについて考察したいと思った。(進化的に気孔が裏側に多くなったのが、葉が薄くなったのより前であるという仮定のもとである)
 これを検証するためには、葉の厚さを決定づける因子を遺伝子操作し、葉の厚さが通常より厚い植物を用意し、この厚い葉をもつ方が通常の葉をもつ方よりも光合成の効率が悪ければ、植物の葉が薄いのは気孔から取り入れたCO2を効率よく柵状組織の葉緑体に届けるためだと考えられる。まず、葉の厚さを決定づける因子について調べたが、これがはっきり分かっていないようである。しかし、シロイヌナズナの葉の厚さを計測する方法と、その方法で計測した結果、有意に葉が厚いと言えるような変異体(N692)が存在することは分かっている(1)。この変異体を用いて光合成効率の評価を行えばよいと考えた。ここで気をつける必要があるのが、単純に変異体がもつ葉緑体数が多いことによって、変異体の光合成量が多くなる可能性である。これを解消するためには葉緑体数を計測し、1葉緑体あたりの光合成量を求める必要がある。また、CO2が限定要因になるような条件にも注意しなければならない。
・参考文献 1.成田典之 (2005) “Isolation and Analysis of Arabidopsis Mutants with Altered Leaf Thickness or Leaf Length” 総合研究大学院大学学位論文 Permalink: http://id.nii.ac.jp/1013/00001393/ 2017年4月26日閲覧

A:これもよく考えています。特に最後の部分、葉緑体の数の問題や限定要因の問題について考えている点が評価できます。ただ、実際にやろうとした場合は、各葉緑体に均一に光を当てるのはほぼ不可能でしょう。葉の厚み方その要因の影響をどのように排除するかは、極めて難しい問題であるように思われます。向に急激な光量の勾配ができ、しかもその勾配は葉の厚みが変わることによって変化するでしょうから、その要因の影響をどのように排除するかは、極めて難しい問題であるように思われます。

光合成の森↓より引用)

www.photosynthesis.jp

 

 

教授の指摘は正しく、確かに光合成効率の評価を行うにあたって1葉緑体あたりの光合成量を意味のあるものにするには、各葉緑体に均等に光を当てなければなりません。

 

しかし、変異体とはいえ同種である以上は葉緑体ごとの効率の差異は考えなくてもいいのではないかと思いました。そう考えると、もし厚い葉であろうと薄い葉であろうと葉緑体数は変化してもその厚み方向に対する分布に違いが大してなければ、やはり1葉緑体あたりの光合成量を計算することで、全体としての効率としてもいいのではないかと思いました。

 

やはり実験を考えることと、その実験を現実的なものに落とし込むことの間には大きなギャップがあるものですね。。。

 

 

話は変わりますが、「大学教授としての科学者」をどう認識するかは人によって大きく異なると思います。大学教授を優先し学生への講義に注力すべきだとか、科学者として研究中心にすべきだとかいう話です。

個人的には、やはりscientistとして大学で働くという道を選んだなら、どこかの機関や企業で働くということに、教授としての「教える仕事」が加わったものと考えるべきだと思います。大変だとは思いますが、やはり学部学生とのやりとりをしっかりできる教授というのは信頼が置けます。

 

理系にもなると、この教授は、講義を差し障りないもので済ませようとしているのでは?と学生側が感じてしまうような教授も多々います。そんな中で、先の植物生理学Iの園池教授はこの講義だけでも毎週40件前後のレビューを確認し、そのうち10件前後に返答するというかなり骨折りな仕事をしていらっしゃいます。

 

こうした教授の方が増えてくれたらいいなと思うと同時に、自分もacademiaでscientistになるなら同等以上に学生の育成をしたいと思っています!!